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『ミノタウロス』読書日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2011-09-19「小説の造形性」について

『醜聞の作法』読解について

| 18:11 | 『醜聞の作法』読解について - 『ミノタウロス』読書日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 『醜聞の作法』読解について - 『ミノタウロス』読書日記

佐藤亜紀さんのザ・インタビューズ回答

を元に、『醜聞の作法』について。

もちろん私がきちんと読み取れているとは思わないけど、

といった細かい読解・要素の把握を通じてすぐに見えてくるのは、字句を一通り読んだだけでは─それだけでも十分面白いだろうことは後述します─気付かないであろう、この小説の多層性や構造です。

言葉を調べる

佐藤亜紀さんの小説の場合、たぶん、たとえば、読んでいて気になった言葉、分からない言葉、繰り返し使われている言葉を少し調べてみるだけでどんどん糸がほぐれるように、花茶の花が開くように、違う層が出てきます。これは文学的専門知識が無くとも出来る、ある意味力業です。

挑戦

小説の違う層、新たな次元が開かれていくときは快感で、その開かれた次元にどんどん上っていって(と自分には思えている)、一層目の上に重ねられている複数の層を含めて眺めてみたときの眺めの良さと美しさを読者は味わうべきだと思います。

様々な技法を凝らし、複雑な構造の小説を書く。小説が必要とした必然に加え、世に出すときには作者の挑戦もあるはず。挑戦に答える楽しさ、手筋を棋譜を読むように辿りつつ考えていくスリル、時として新たな見解の提示、作者の手つきの見事さと作り上げられている立派な構築物に感嘆する楽しさとすがすがしさを読者は味わうべきだと思います。

それが見事な小説を生み出してくれた作者への返礼でもあるんじゃないかと思うのです。

『醜聞の作法』

醜聞の作法 (100周年書き下ろし)

一層目は、

の書評に代表されるように、18世紀末フランスにおけるパンフレット、"醜聞が広がり、事実とは無関係に独り立ちし、本人の及ばぬところまで変貌する恐ろしさ"、フランス革命前夜のフランス社会の姿、といったところ。これはベース(だと思う)だし、ここだけでもちろん面白いし完結しています。

その上の(もしくは隠された)層に行くには、この小説の場合

  • イコノロジー的な「隠されている(けど描かれている)意味の把握」「作者の描いたものは何であるか」を探る。
  • 書簡体小説や対話といった形式の検討。
  • 本歌取りなど間テクスト、違う小説が組み合わせてある楽しさ。『ラモーの甥』『夏の夜の夢』など。これはこの小説の本筋…一層目そのものにも実は関わっている。

などが読解のために必要になるかと思います。

「味」の好みやこの小説に対する解釈が違ってくるのは、複数の層の存在に気付き、読解・検討し味わった先にあるのだろうと私は考えています。

「イコノロジー」

イコノグラフィー、イコノロジーで絵画を見る具体的な楽しさについては、たとえば