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2017-03-04長編小説『スウィングしなけりゃ意味がない』、2017年3月2日発売!

長編小説『スウィングしなけりゃ意味がない』、2017年3月2日発売!

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1940年代、ナチス政権下のドイツ、ハンブルクを舞台にした長編小説『スウィングしなけりゃ意味がない』。2017年3月2日、角川書店から単行本書籍電子書籍版が同時発売されました。

スウィングしなけりゃ意味がない(単行本書籍) スウィングしなけりゃ意味がない (角川書店単行本Kindle版)

巻末には佐藤亜紀本人によるあとがき「跛行の帝国」が掲載されています。参考文献・資料も記載されているのでじっくり確かめたいところ。単行本と同時発売された電子書籍版では、特典としてこの「跛行の帝国」の「紙では載せきれなかったロングバージョンを収録*」とのことです。

この作品に関する情報を下記にまとめています。

初出について

この作品の初出は雑誌「文芸カドカワ」(カドカワ)連載でした。

  • 2016年4月号(2016年3月配信)〜2017年1月号(2016年12月配信)最終回の全10回掲載されました。
  • このたびの単行本化にあたり加筆・修正されています。

掲載雑誌など詳しくは、→小説『スウィングしなけりゃ意味がない』初出について をご覧ください。

サウンドトラック

参考動画

Hamburg 1948 - Rare Footage in color and HD - YouTube : https://www.youtube.com/watch?v=Qpu-zqDbnN0

2016-07-18佐藤亜紀朗読会メモ

yukatti20160718

佐藤亜紀朗読会メモ

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本の場所 美術のおまけつきで2016年7月16日(土)夕刻より開催された

朗読会の間に取ったメモを整理しました。

佐藤亜紀さんがお話しになった内容の骨子はおおかた網羅しているように思いますが、

  • 逐語的な書き起こしではなく、
  • 具体例の省略や、聞き漏らしや質疑応答が聞こえづらかったなどで抜けている箇所が若干ございます。
  • ( )内は佐藤さんの前後の発言をまとめて筆者が補足した箇所です。

ご了承ください。

佐藤亜紀さん、豊崎由美さん、本の場所関係者の皆様、貴重な機会をありがとうございました。

佐藤亜紀「吸血鬼」朗読会
於 本の場所 美術のおまけつき 2016年7月16日(土)18:05〜19:35頃 参加者30人

吸血鬼 吸血鬼


『吸血鬼』について

  • 1章あたり30枚。非常に短い。
    • 普通1段落100枚とか50枚とか。
      • 電子書籍化していて気付いた。人によって章の枚数のバラツキがある。
ブレイキング・バッド
  • なぜ30枚か
    • ブレイキング・バッド(アメリカのテレビドラマ)にハマッて真似した。
      • 愛蔵版「樽」(ポリドラム缶)…日本では青い。青い樽を部屋に置くのが嫌だから買っていないけれど
  • (ブレイキング・バッドには)アバンタイトルがついている。
  • やり方を応用する
    • 1話50分
      • 5つに分けて、1つがアバンタイトル、4つカードにして(カードにすることで順番の入れ替えなど試行できる)構成
  • 中に一箇所、ブルーレイの付録、一場面そのままの台本があった(コンビニに入って……のシーン)
    • 台本だからといって台詞だけ書いてあるわけじゃ無い。
      • 間に心情が書いてある。端的に。→「小説において、どこまで描写が必要なのか」の答
  • どこまで書いて、どこまで書かないか。
  • どこまで削って、どこまで書かなければ浮かばないか。

小説のストラテジー (ちくま文庫) 小説のタクティクス (単行本)

  • 小説を成り立たせているのは「動き」(自身の既刊『小説のストラテジー』『小説のタクティクス』に書いているように)
    • どこまで描写をするか、しないか…動きに付随する
      • 細かく書く(19世紀の小説など)→その小説に必要だから
        • 例 19世紀の戯曲 ロスタン『鷲の子』(ナポレオン2世を題材にした)
          • ライヒシュタット公(ナポレオン2世)…父の血筋と母の血筋の間に引き裂かれる。
      • 19世紀は全部びっちり書かないといけない→必要だった
      • 戯曲では部屋の様子の描写が延々1ページ以上書いてあったり→その描写通りで全部セットくめる→機能する
        • 現在ならどうか。たとえばオペラでも、現在なら一室真っ暗で上演する演出もあり。
  • 小説は描写がどこまで必要か。
  • いちばん最初に登場人物の顔を頭に刻み込まれると、
    • 台詞で説明していかなくても、顔の変化で全部分かる。
      • 「何を言ったか」だけ書けば

以上を踏まえ

  • 『吸血鬼』…小説におけるミニマム
    • 他にも『ブレイキング・バッド』の手法を使っている。
      • 例。「物(もの)の一人称」…3,4箇所使っている。

『吸血鬼』朗読

  • 佐藤亜紀さんご自身は、国語の授業などを除けば、朗読をしたことが無い。今回初めて。スキルも無い。
    • 町田康さんの小説を読んでいてリズムが分からなかった。町田康さんの自作朗読を聴いて町田さんはああいうふうに読むのだと知って文章のリズムに納得した。
    • スキルが無いけれどもなぜ朗読をしても良いと思ったか。佐藤亜紀さんはオペラよく観る。オペラなどああいうものは日によって違う。そういうことであっても良いかと
  • 『吸血鬼』朗読
    • 第4章から朗読(単行本版p.66〜p.85)

父親は手伝いの男たちと納屋の壁に穴を開ける。と言うより、以前に開けた後塞いであった穴を、板を丁寧に剥がして再び開く。んげでもねきゃこんげ簡単に開けらんねこての、と手伝いの一人が言う。うちごと叩き壊すっきゃ別だどもさ。親ってのは有難えもんだの、と別の男が返し、彼らは声を殺して笑う。(引用後略)

吸血鬼 吸血鬼

方言

(朗読後)

  • 方言の部分、読むのがしんどい。
    • 私(佐藤亜紀さん)の田舎の方言。
      • 出身地の方言の他に使える方言が無い(ので、方言で書くとご自分の出身地の方言に)
  • 書いている間はそうでも無いのに読んでいていて気付いた
    • 標準語と発声法と声域が違う。
    • 鼻濁音が出来ない。
  • 佐藤亜紀さんの出身地近くの出身、田中角栄
    • 角栄の演説は悪夢のよう、エンドレス
      • 演説が巧い人はどこから聴いてもそこから始まったように思える。
    • 声が低い。(標準語話者と比べて)低音を出す。
  • 方言話者…バイリンガル
    • 外にいるときは標準語寄りの声域。
      • 高齢者などで外に出なくなると標準語寄りが消える。だんだん方言の話し方になる。
『吸血鬼』の方言
  • ルテニア語…ウクライナ語に近い
  • ガリチア…「すさまじい僻地」
    • 小説の舞台…現在だとポーランド→ウクライナ北部
    • 「僻地」…オーストリア帝国時代、ガリチアのレンベルクからウィーンは片道半月かかった。道が無いから。
    • 土は肥えているけど水は無い。ステップ。
ガリチア
  • ガリチア
    • オーストリア帝国が切り出した。
      • ルテニア語教科書
      • ルテニア・カトリック
  • ルテニア・カトリック
    • 中身はロシア正教。ローマ教皇をトップに据えている。
    • 全てにおいてロシア正教より切り詰めている。
      • ミサなど多人数必要なものも1人で出来る典礼に…人がいないから
    • 教会内部に絵が描いてあるが、絵がはげている。
      • 窓が無い。窓がわりにタマネギ型の上のほうの屋根に穴を開けている→風雪が入る→絵がはげる。
  • 移民を多数出した
    • オーストリアの最貧国
    • アメリカ、カナダに大量の移民
      • ガリチアの家は屋根が地面まで届くような屋根がほとんどいう作り。カナダのガリチア移民の家の写真を見ると、そんなガリチア風の家が建っているが家の横に立っている人と比べると縮尺が(もともとのガリチアの場合と比べて)変。カナダの家のほうが倍くらい大きい。
      • 「ガリチア村」…昔のガリチアの村を再現。ディズニーランドみたいなテーマパーク風の。移民達がルーツを探してガリチアを訪ねる→「ガリチア村」で昔の料理を食べたり昔の家や教会を探訪したり。

(筆者注)

カナダにおけるウクライナ、ガリチア移民の参考として(写真多数あり)

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      • カナダ政府はアルバータ、サスカチュワン、マニトバの「プレーリー3州」を開発するため、ヨーロッパから大量の移民を受け入れる政策を推進していた。
      • さて、様々な国の人たちがアルバータをはじめとするプレーリーにやってきたけれど、その中でも開拓民として特に歓迎されたのが、ウクライナの人たちだ。カナダ政府側では、ウクライナの人たちについて、こんな呼び方すらされていた。「粗末な羊皮の外套をまとい、大地で生まれ、10世代も続く農民で、たくましい妻と半ダースの子供を持つ屈強な農民」
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質疑応答

  • 質問:アダム・クワルスキのモデル詩人いるのか?
    • 佐藤さんの回答:ロマン主義を絵に描いたような…リリカルな叙情詩。バイロンごっこ(楽しかった)。
  • 質問:ルテニア・カトリックの司祭は本当に読み書きが出来ないのか。典礼をしているのに。
    • 回答:誰が司教を読み書きできないと言っているか→マチェクが、司祭のことを「読み書きできない」と言っているいることに注意。
      • ハプスブルクの方針…きちんと教育を受けていないのは(読み書き出来なければ)司教を外して修道院に入れる。司教を続けているということは読み書きが出来るということ……
      • ギリシャ正教の坊主は全部典礼を覚えている。「文字になる文化」の前のことを全部覚えている。
      • 教会スラブ語が出来たはず。
  • 質問:ガリチアにしたのは
    • 回答:『メッテルニヒの伝記』からガリチアにした。
  • 質問:『吸血鬼』単行本の表紙が素敵。この表紙の写真を選んだのは
  • 質問:吸血鬼伝説、この舞台を選んだのは
    • 回答:言葉、文化、吸血鬼が重なっている場所が興味深い。
      • いわゆる「吸血鬼」を書きたくない。
        • 中公新書の『吸血鬼伝承』。地べたを這うような吸血鬼伝説

吸血鬼伝承―「生ける死体」の民俗学 (中公新書)

  • 質問:小説を書くための資料集めの方法
    • 回答:インデックス作る。高校の世界史レベル→概説書→参考文献→さらにその参考文献の参考文献、と辿っていく。
      • 文芸カドカワ連載中の『スウィングしなけりゃ意味がない』。ナチは資料が多い。
        • 資料が多くても決定的に分からないことがある。
        • (資料が出てきているので)文芸カドカワの連載はタイミングが良かった。
          • 資料がどんどん多くなる。
        • 例:強制収容所…ものすごい箇所の支部を持っている。収容者数、本所より多い。
          • ハンブルク。数が不明。
          • 戦争末期、証拠隠滅で収容者は「出て行ってくれ」と言われたり
  • 質問:『吸血鬼』はクワルスキの伝記っぽいスタート
    • 回答:小説っぽい始め方が好きではない。
      • 例。「車のフロントガラスに雨のしずくが……」みたいな、情景から始まる小説が多い。→(佐藤亜紀さんの考えとしては、小説は一般的に)情景から始めるとうまくいかない。
  • 質問:小説の題材としてなぜハプスブルク
    • 回答:一民族が住んでいるのではないから。いろんな民族が混じり合っている。
      • もっとも、ヨーロッパでは一民族だけ住んでいるといった国は無いが
  • 質問:ガリチアの研究が進んでいるのは
    • 回答:アメリカの研究が進んでいる。ポーランドの民族意識の発生、というアメリカの研究もある。
      • 英語、フランス語、ドイツ語の資料。フランス語は古い時代(〜19世紀)の一次資料が多くて重宝、
      • ドイツ語苦手。Kindleの翻訳機能が便利。「ドイツ語→英語」を使う。
        • ただ、その訳が間違えていないかを自分で把握出来る程度にはドイツ語(なり、翻訳したい言語)の言語力は必要なのではないか。

『スウィングしなけりゃ意味がない』朗読

文芸カドカワ 2016年6月号<文芸カドカワ>

  • III Amapola(雑誌『文芸カドカワ』2016年6月号掲載)の朗読
    • 章の始めから位置No.1637、叔父の言葉まで
  • 『スウィングしなけりゃ意味がない』は一人称で朗読で読みやすい。

『スウィングしなけりゃ意味がない』の朗読をもって朗読会終了。

"Amapola" via 『スウィングしなけりゃ意味がない』サウンドトラック - Vie et opinions de Sato Aki, "tamanoir" ——大蟻食の生活と意見

朗読会参加者の皆様のブログ記事等

2016-03-10

小説『スウィングしなけりゃ意味がない』 雑誌「文芸カドカワ」(カドカワ)にて連載開始

| 19:29 | 小説『スウィングしなけりゃ意味がない』 雑誌「文芸カドカワ」(カドカワ)にて連載開始 - 『ミノタウロス』読書日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 小説『スウィングしなけりゃ意味がない』 雑誌「文芸カドカワ」(カドカワ)にて連載開始 - 『ミノタウロス』読書日記

佐藤亜紀の新連載小説『スウィングしなけりゃ意味がない』第1回が、2016年3月10日、雑誌「文芸カドカワ 2016年4月号」(カドカワ)に掲載されています。【イラストレーション】は信濃八太郎さん。

第1回は、1939年ナチス政権下のドイツ、ハンブルクが舞台。

文芸カドカワ 2016年4月号<文芸カドカワ>

デューク・エリントン・オーケストラ「スウィングしなけりゃ意味がない」

It Don't Mean A Thing(1932年)

「Pick Yourself Up」

フレッド・アステア&ジンジャー・ロジャースの映画『有頂天時代』Swing Time(1936年)より